御由緒

 

村上天皇の天徳三(九五九)年正月、常陸国石井大明神の祢宜式部大夫

岡仁兵衛政弘、聖武天皇の勅願社なる播磨国廣峯神社(牛頭天皇)に、

宿願のことあって参龍、満願の暁、神託あり。

 

「朕、分身して西海に遊ばんと欲す。汝速やかに小舟を造り。

朕が容貌を載せて海上に浮かべ、供奉すべし。その舟の止まる処にて、

庶民守護の地を卜せん」。

 

政弘夢の如く、覚めて奇遇の心を生じ、恐懼して御神勅の如くす。

海は静かに、舟は西を指して飛ぶが如くに馳せやがて着いたのが、

豊後国は国東郡富来浦三つ石。

そこで政弘は、ともづなをつなぎ、村人に事の由を告げたところ、

郷中(富来・富来浦・浜崎・堅来・深江・大恩寺の六か村)の庶民、

ことごとくみな、渇仰してこれを迎え、今の磯の神(磯の御膳ともいう)

で神饌を備え、一時、富来丸山に鎮座座しまし、同年十一月社殿成り、

現社地に奉還す。

 

 

平成十三年(二〇〇一)年

正月建之

 

宮司 鎌田英俊

 

 

※富来郷総鎮守八坂社御神霊御降臨の地 石櫃より